交通事故で相手方の保険会社から「過失割合8対2」と言われたときの対応方法

交通事故で相手方の保険会社から「過失割合8対2」と言われたときの対応方法

先日、交通事故に遭い、相手方の保険会社から過失割合が8対2であると説明されており納得できません。

過失割合は過去の裁判例が参照されることが多く、また、状況に応じて基本過失が修正されることとなるため保険会社が提示する過失割合は必ずしも正しいとは限りません。

今回は、相手方の保険会社から「過失割合8対2」と言われたときの対応方法について解説します。

この記事の監修弁護士:浅尾 耕平
2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。交通事故、労働災害をはじめ多様な事件に従事。

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目次

基本過失割合が8対2となっている代表的な交通事故パターン

過失割合は交通事故の具体的な状況によって決まるため、過失割合が8対2と言っても、事故のバリエーションは様々です。

そこで、以下では基本的な過失割合が8対2となっている代表的な交通事故パターンをご紹介します。

なお、以下の過失割合については、「別冊判例タイムズ38号 民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]」を参考に記載しています。

四輪車同士の交通事故

交差点で直進し、対向車が右折進入しようとした際に衝突したケース

信号のない交差点や信号がある交差点で双方青信号で進入した場合、直進していた車をA車、右折しようとした車をB車とすると、互いに交差点へ進入していますが、基本的な過失割合は右折しようとしたB車の方がA車よりも大きくなります(判例タイムズ【107】【114】)。

その結果、基本的な過失割合はB車(右折側):A車(直進側)=8:2となります。

道路外から道路へ右折または左折進入しようとした際に衝突したケース

道路外から道路へ右折または左折して進入しようとしたA車、道路を直進していたB車が衝突したケースです。

この場合の基本的な過失割合は、A車(右左折側):B車(直進側)=8:2となります。

なお、このケースは右折を完了していた場合には、過失修正が行われ、A車(右折側):B車(直進側)=7:3となります(判例タイムズ【147】【148】)。

四輪車と二輪車(バイク)の交通事故

後方を直進していたバイクと進路変更しようとしていた自動車が衝突したケース

一般的に自動車とバイクの交通事故については自動車の方が、責任が重くなる傾向があります。

この場合にはバイク側も前方に注意を払いながら運転する義務(前方注視義務)を負うため、基本的な過失割合は自動車:バイク=8:2となります(判例タイムズ【225】)。

広い道を走っていたバイクと狭い道から走行してきた自動車が衝突したケース

微妙なケースですが、道路幅に差がある交差点での出会い頭事故で、明らかに広い道をバイクが直進しており、自動車が狭い道から進入してきた場合の基本的な過失割合は、自動車:バイク=8:2となります。

ただし、どちらかが減速している場合には過失割合が変動することとなり、ケース毎に変わる可能性があるため注意が必要です(判例タイムズ【167】)

四輪車と自転車の交通事故

同幅員の信号機の無い交差点を直進していた自動車と自転車が衝突したケース

同幅員の信号機の無い交差点で、自動車と自転車が出会い頭に衝突したケースです。

このケースの基本的な過失割合は、自動車:自転車=8:2となります(判例タイムズ【240】)。

前方に障害物がない道路で自転車が進路変更しようとした際に、後続の自動車と衝突したケース

前方に障害物がない直線道路で自転車が進路変更しようと、例えば道路の中央へ出てきたようなケースで後続の自動車が自転車に衝突した場合がこれに該当します。こうしたケースでは基本的な過失割合が自動車:自転車=8:2となります(判例タイムズ【307】)。

ただし、前方に障害物があり、自転車がこれを避けるためにやむなく進路変更をしたようなケースでは、基本的な過失割合は自動車:自転車=9:1となります(判例タイムズ【306】)。

四輪車と歩行者の交通事故

横断歩道や交差点から離れた場所を歩行者が横断していて自動車と衝突したケース

一般的に歩行者と自動車の交通事故では歩行者側の過失は認められにくい傾向にあります。

その中でも歩行者側にも過失があるケースとして、交差点も横断歩道も近くに無い道路を横断していて自動車と衝突した場合などが挙げられます。この場合の基本的な過失割合は自動車:歩行者=8:2となります(判例タイムズ【37】)。

ただし、この過失割合も道路が幹線道路である場合や時間帯などにより変わる可能性があるため注意が必要です。

横断歩道を黄色信号で横断していた歩行者が黄色信号で右折または左折してきた自動車と衝突したケース

この場合、基本的な過失割合は自動車:歩行者=8:2となります(判例タイムズ【15】)。

なお、先ほどのケースと同様に、状況によって細かく変わる可能性があるため注意が必要です。

また、過失割合については、以下の記事もご参考ください。

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8対2の過失割合に納得できない場合の対処の流れ

8対2の過失割合に納得できない場合の対処の流れ

過失割合は多くの場合、保険会社から提示されます。

しかし、先ほど解説したように過失割合は事故時の状況によって変わるため、保険会社から提示された過失割合が正しいものとは限りませんそのため、交渉次第で過失割合を変えることも可能です

そこで、ここからは8対2と提示された過失割合について交渉を行う際のポイントについて解説します。

STEP
交渉に使う証拠を収集する

過失割合を被害者に有利に変更するために重要なのが、過失割合を修正するための修正要素を主張することと、その主張を基礎づける証拠を集めることです

修正要素とは、事故の発生した場所や被害者の年齢、運転態様など、交通事故態様以外で基本的な過失割合が修正される要素のことを言います。

この修正要素は事故の類型毎に細かく存在しており、それぞれの事情毎に過失割合が修正されます。

そのため、保険会社が被害者にとって有利となる修正要素を見落としていたり、気がつかなかったということは十分に考えられます。

そこで、適切な過失割合を反映させるためにはこの修正要素を事故の実態に沿って主張する必要があります。
そして、この修正要素の存在について保険会社や事故の相手方を納得させるためには、証拠が必要です

そのため、交渉に用いる証拠の収集が重要となるのです

STEP
誰が交渉するかを決める

交渉に当たっては修正要素とそれを裏づける証拠が重要と言うことを解説しました。次に問題となるのは交渉を誰が行うかという点です。

・自分自身で交渉する

まず考えられるのが自分自身で相手方の保険会社と交渉する方法です。

しかし、証拠となる刑事記録等の取得は複雑な手続きが必要となり、前述の修正要素について熟知した上でそれに対応する証拠集めを行うのは交通事故に精通していない限りは非常にハードルが高いかと思われます。

・自分が加入している自動車保険の保険会社の担当者に交渉を依頼する

被害者に過失割合が認められる場合に限り、示談代行サービスを利用することで、被害者が加入している保険の保険会社に交渉を依頼することができます

保険会社の担当者は弁護士ではありませんが、交通事故を専門的に取り扱っているため、過失割合について過去の判例を踏まえた上での主張を期待する事ができます。

・弁護士に交渉を依頼する

弁護士へ依頼するメリットとしては、弁護士が交通事故の示談交渉の窓口として行動してくれるため、依頼後は保険会社とやりとりする必要が無くなる点が挙げられます。

また、過失割合だけでなく、賠償金全体の金額についても交渉を行う事ができるため、交通事故の被害について全て交渉を任せることができるという点も弁護士へ交渉を依頼する大きなメリットです。

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妥協案として「8対0」「9対0」などの「片側賠償」という合意もある

妥協案として「8対0」「9対0」などの「片側賠償」という合意もある

被害者側が自身の過失割合を0と主張しているのに対し、加害者側が被害者にも過失があると主張している場合、過失割合が揉めてしまうケースは少なくありません。

そこで用いられるのが片側賠償です。ここからは、片側賠償について解説します。

「片側賠償」とは?

片側賠償とは、例えば過失割合が加害者9に対して被害者1の場合、加害者が被害者に対する損害賠償請求権を放棄した結果、加害者のみが損害賠償金を支払うことをいいます

妥協案である理由…「被害者側の過失がない」ということではない

この片側賠償はあくまでも被害者にも過失があることを前提にしたものです

そのため、被害者側に過失が無い、いわゆる10対0の交通事故の場合に用いられるものではありません。

よって、片側賠償によって被害者が賠償金の支払を免れても、加害者から支払われる賠償金はあくまでも被害者の過失分を控除した金額となる点には注意が必要です。

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過失割合に納得がいかない場合は過失割合を修正できないか交渉!弁護士に依頼するのがベター

過失割合に納得がいかない場合は過失割合を修正できないか交渉!弁護士に依頼するのがベター

過失割合に納得ができなかったのですが、修正できる可能性があることを知って安心しました。保険会社との交渉をお願いしたいと思います。

過失割合の交渉は修正要素やその証拠収集など専門家で無いと難しい部分があります。適切な補償が受けられるよう最善を尽くします。

過失割合の交渉は専門的な要素が多いため、被害者自身で交渉するのは難しい部分となります。過失割合にお悩みの方は是非当事務所へご相談ください

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