フリーランス・個人事業主の交通事故での休業損害の計算方法

フリーランス・個人事業主の交通事故での休業損害の計算方法

フリーランスや個人事業主として働く方が増えています。

こうしたフリーランスや個人事業主の方が、交通事故でケガをして仕事を休んだ場合にはその分収入が減ってしまいますが、こうした損害は休業損害として請求することになります。

交通事故でケガをして一ヶ月ほど入院してしまい、その間仕事ができず収入が無い状態になってしまいました。自営業のため、毎月の収入が決まっていないのですが、この場合どういった請求をすれば良いのでしょうか。

交通事故で一ヶ月お仕事ができなかったとのことで、大変ご不安だったかと思います。自営業の方の場合には、サラリーマンなどの場合と休業損害の計算方法が異なります。

今回は自営業やフリーランス・個人事業主の方の休業損害について解説します。

この記事の監修弁護士:浅尾 耕平
2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。交通事故、労働災害をはじめ多様な事件に従事。

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目次

フリーランス・個人事業主が交通事故に遭った場合のリスク

フリーランス・個人事業主が交通事故に遭った場合のリスク

フリーランスや個人事業主の方は、自身で受けた仕事をすることによって報酬を得る事になります。

こうした、フリーランスや個人事業主の方が交通事故の被害に遭った場合には以下の様なリスクがあります。

収入の減少

フリーランスや個人事業主の方が交通事故の被害に遭い、仕事を休んでしまった場合の最大のリスクは収入の減少です

特に個人事業主の場合、収入が毎月一定ではないため、売り上げが多く見込まれる月に休んでしまったケースでは、収入が大きく減少してしまうことになるため、非常に大きなリスクとなります。

損害賠償・契約解除などのリスク

また、フリーランスや個人事業主の方は自身で事業をしていることから、クライアントとの契約によって納期に納品する債務を負っていることがあります。

そのため、仕事を休んだ場合には定められた納期に納品できないケースが生じてしまいます。

この場合には納期遅れは債務不履行となるため、場合によっては、クライアントに対して損害賠償をしなければならなくなったり、クライアントから契約を解除されたりするなどのリスクがあります

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フリーランス・個人事業主の休業損害請求の方法

フリーランス・個人事業主の休業損害請求の方法

サラリーマンの場合には、収入が毎月決まっていることから休業損害の請求は交通事故に遭う前の給与額をベースに計算し請求することになります。

しかし、フリーランスや個人事業主の場合にはこうした給与自体が存在しません。

そこで、フリーランスや個人事業主の場合の請求方法について解説します。

フリーランス・個人事業主の休業損害請求で必要な書類

フリーランスや個人事業主の休業損害請求には様々な書類が必要となりますが、多くの場合、以下の書類が必要となります。

確定申告書

サラリーマンの場合には休業損害証明書を会社が作成し、それを提出しますが、フリーランスや個人事業主の場合、収入を算出するためには、事故の前年の確定申告書が必要となることが多いです

フリーランスや個人事業主の場合、休業損害は前年の申告所得をベースに計算が行われます。

そのため、前年の所得を証明するために確定申告書が必要となるのです。

売上の変動が大きく、事故の前年の確定申告書だけでは所得が正確に把握できないケースでは、事故前数年分の確定申告書が必要となることもあります。

診断書/診療報酬明細書

フリーランス等の場合、サラリーマンと違って仕事を休んだという証明が困難です。

そのため、医療機関を受診したことで仕事ができなかった、仕事を休んだという証明を行うために用います。
また、医師から就労制限がある場合も、診断書の記載をもとにして休業の必要性を判断することになります

診断書、診療明細書はいずれも医療機関が作成します。

治療費の支払いのためにも必要となるため、被害者側が費用を負担して取得、提出するのではなく、加害者の任意保険会社が医療機関から取り寄せるケースが多いです。

フリーランス・個人事業主の休業損害請求の流れ

次にフリーランス・個人事業主の休業損害請求の流れについて解説します。

STEP
加害者の任意保険会社へ必要書類を提出する
STEP
加害者の任意保険会社が休業損害を算定
STEP
任意保険会社からの休業損害など賠償額の提示
STEP
任意保険会社からの休業損害など賠償額の提示
STEP
賠償額の合意
STEP
休業損害等の振り込み

以上のような流れで休業損害の請求が行われます。

①については、必要書類を提出することになりますが、前述の通り診断書や診療報酬明細書は加害者の任意保険会社が医療機関から取り寄せるため被害者自身から提出するケースはあまり多くありません。

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フリーランス・個人事業主の休業損害の計算方法

フリーランス・個人事業主の休業損害の計算方法

次にフリーランスや個人事業主の場合、休業損害の額はどのように計算するのかについて解説します。

自賠責基準

一つ目の計算方法は自賠責基準です。

自賠責基準では、1日あたりの所得を6100円として計算します。具体的な計算方法は、日額(6100円)×休業日数によって算出された金額となります

ただし、この日額についても6100円を超える場合には、その証明をすることによって日額1万9千円を上限に請求することが可能となるため、前述の確定申告書が特に重要となります。

弁護士基準

弁護士基準では休業損害は、(事故前年の年間所得/365日)×休業日数で計算します。事故前年の年間所得は、原則として前年の確定申告書で申告した所得金額になります

ただし、いずれも実際に休業したことによる収入の減少がなければ休業損害が認められない点には注意が必要です。

月ごとに収入金額が異なる可能性のあるフリーランス・個人事業主の場合には、休業損害は弁護士基準によることで適切な賠償を受けることが可能となります。
弁護士へ交渉を委任し、休業損害を弁護士基準にしたがって計算することが適切な賠償を受けるために重要です

また、その他の職業別の休業損害の計算方法については、下記の記事もご参考ください。

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フリーランス・個人事業主の休業損害請求でよくある質問(FAQ)

フリーランス・個人事業主の休業損害請求でよくある質問(FAQ)

ここまで、フリーランス、個人事業主の休業損害の請求の流れと計算方法について説明しましたが、ここからはフリーランス・個人事業主の休業損害についてのよくある質問とそれに対する回答をご紹介します。

フリーランスの休業損害は結局どうやって算定するの?

前年の年間所得を基礎に計算することが多いです。

フリーランスや個人事業主の場合には、前年の確定申告で申告した年間所得を用いて計算することが多いです。
自賠責基準に従う場合、日額6100円が原則となりますが、立証資料等により収入が一日につき6,100円を超えることが明らかな場合はその実額を請求できるため、まずは前年の年間所得を確認しましょう。

所得額をベースに算定するとき、経費は差し引く必要がある?

経費などのうち家賃などの固定費は差し引かなくてよい場合があります。

事務所の家賃などのように、休業していた間も支出が必要であった固定費については経費控除する必要がありません。
逆に、それ以外の固定費や流動経費については控除する必要があります。

今年がたまたま事業の調子が良く売上が高いが、それでも昨年の所得をベースに算定しなくちゃいけないの?

事故前数年間分の確定申告書を提出することで数年間の平均所得をベースに計算できる場合もあります。

フリーランスや個人事業主の場合、前年の年間所得を基礎に休業損害を計算することが多いですが、年によって所得にバラツキのある場合には前年の年間所得を基礎に計算を行うと適切な金額が算出できないことがあります。
このような場合、過去数年間の平均所得を基礎とできるケースもあります。

確定申告をしていない場合、過少申告している場合はどうなる?

休業損害の請求は可能な場合もあります。

確定申告をしていない場合や、過少申告している場合は、帳簿や通帳、領収書などを用いて収入を証明する方法や、賃金センサスに基づく平均賃金から日額を計算する方法によって、休業損害が認められることもあります。

交通事故のせいで受注していた仕事がなくなった場合の損害は請求できる?

事故が原因である事などが証明できれば請求できる場合があります。

この場合、交通事故が原因となって仕事ができなかったこと、その仕事を受注していた事実、その仕事によって得られるはずだった金額などを証明することでこうした損害についても請求できることがあります。

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まとめ

まとめ

フリーランスや個人事業主の場合、適切な休業損害の請求を行うためには、弁護士基準に基づき、適切な金額を算出し請求を行う必要があります

弁護士へ交渉を委任することで、弁護士基準を用いた請求がスムーズに可能となるため、フリーランスや個人事業主の方の休業損害の請求にあたっては弁護士への委任が非常に重要です

年毎に売り上げにバラツキがあったため、適切な賠償が受けられるか不安でしたが、安心しました。相手方との交渉は是非お願いしたいと思います。

フリーランス・個人事業主の方は、休業損害の計算がサラリーマンの場合と比較して複雑です。適切な賠償を受けられるよう最善を尽くさせていただきます。

休業損害でお悩みの方は是非当事務所へご相談ください

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