交通事故の被害者の方にとって、保険会社から示談書が届くと、交渉や治療が終わりようやく交通事故から解放されると感じられるかもしれません。
しかし、示談書にこれまでの示談交渉の結果が正確に記載されているかどうかを確認する必要があります。
交通事故でケガをしたのですが、無事治療も終わって保険会社の方ともやりとりを終えて示談書が届きました。示談書に記載されている内容に問題はないのか、これまでのやりとりが反映されているのか、よく分かりません。
治療や交渉を無事終えられて一安心されたことと思います。示談書の内容について確認すべき事項や注意すべき事項について解説いたしますので、一緒に内容を確認しましょう。
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示談書とは?
示談交渉が終わると保険会社から示談書が被害者のもとへ送付されます。
多くの場合保険会社からは示談書の内容を確認し署名押印して返送するよう説明を受けますが、実際に示談書とはどのような意味を持つ文書なのか分からないという方も多いのではないでしょうか。
そこで、まずは示談書とは何かという点について解説します。
示談書の法的な性質
示談書というのは、当事者間で示談が成立した場合に作成される文書のことを言います。法的には和解契約書と呼ぶこともできます。
交通事故の被害者は加害者に対して不法行為に基づく損害賠償請求権を有しています。
この損害賠償には、交通事故によって発生した治療費や入院費、ケガによって仕事を休んだ事で発生する休業損害や後遺症・入通院で発生する精神的苦痛に対する慰謝料など様々な損害が含まれます。
これらの損害について被害者の方は損害賠償請求を裁判により行う事も可能です。
しかし、裁判所を介さず当事者間で話し合うこと(示談)によって、当事者双方が納得できる金額でその問題を解決することもできます。
示談書は、こうした当事者が示談によって交通事故の問題を解決した内容を証明するための文書という意味を持ちます。
示談書の形式
和解契約書と聞くと、契約書のような定型的なフォーマットを想像される方もいらっしゃるかもしれませんが、示談書の形式については特に決まりはありません。
通常は保険会社が作成しますが、被害者の方や加害者などの当事者が作成しても問題ありません。
ただし、前述の通り示談書は交通事故の問題を解決した事の証拠となる重要な文書です。後述するような示談書として記載すべき事項を押えておく必要があるほかにも、文書としても法的な側面を押さえておく必要があります。
そのため、当事者で作成される場合には、事前に弁護士へご相談されることをおすすめします。
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交通事故で保険会社から提示された示談書の内容を確認する前に押さえておくべきポイント
では、保険会社から示談書の提示を受けた場合にはどのように対応すべきでしょうか。
前述の通り示談書は契約書の一つです。示談書の内容を確認する際に押さえておくべきポイントを解説します。
弁護士基準(裁判所基準)の賠償額より低いことが多い
示談書の中で最も重要な部分は金額について記載された箇所だと思います。
多くの方は保険会社から提示された金額がこれまで説明を受けていた内容と一致しているかどうかを確認されるにとどまるものと思いますが、実は保険会社が提示している金額は多くの場合、弁護士基準(裁判所基準)の賠償額より低くなっています。
これは、保険会社の用いる基準と裁判で用いられる基準が異なるためです。示談の場合も裁判の場合も同じ交通事故に対する損害賠償なので金額は変わらないのでは無いかと思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、こうした損害賠償の金額には、①自賠責保険の基準②任意保険の基準③弁護士の基準(=裁判所の基準)の3つがあり、それぞれ金額が異なります。
① 自賠責保険の基準
自賠責の基準は被害者への最低限の補償を目的としている基準のため、3つの中で最も低い金額となります。
② 任意保険の基準
保険会社が独自に設けた基準に基づいて算定する金額です。①の自賠責の基準に若干加算された水準となる事が多いです。基準は保険会社ごとに異なり、公開されていません。
③ 弁護士の基準(=裁判所の基準)
弁護士が保険会社と交渉する際に用いるのが③の弁護士の基準であり、これは実際に裁判で用いる基準と同じものです。
3つの基準の中で最も高い金額となります。
金額は過失割合によっても変わる
交通事故の場合、加害者が一方的に悪い、いわゆる10対0のようなケースもありますが、被害者側にも過失があり、賠償額が一部減額される場合もあります。
こうした処理のことを過失相殺といい、被害者と加害者のそれぞれの過失の割合を過失割合と呼びます。
被害者の過失割合が大きくなると、受け取ることができる金額が減少するため、過失割合は金額に大きく影響します。
物損部分の過失割合は、人身部分にも大きく影響してきますので、過失割合に少しでも納得がいかない場合は、任意保険会社から提示された過失を無理に受け入れず、まずは弁護士へ相談するのが一番です。
事故の状況が微妙に違っているが金額に影響しないだろうと考えていると、実は本来受け取るべき金額より大きく下がっていたというケースは少なくありません。
事故の状況や過失割合が金額と同じくらい重要という点は押さえておきましょう。
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保険会社から提示された示談書で確認すべきポイント
以上のポイントをおさえた上で、保険会社から提示された示談書について、具体的にどの箇所をどのように確認すれば良いか解説していきます。
各項目毎に注意すべき点などを解説しますので、実際に提示された示談書を見ながら本記事を読んでいただけると、より分かりやすいでしょう。
一般的に示談書に記載されている事項
示談書には、以下の様な事項が記載されています。
- 事故の日時、場所、事故の内容
- 示談条件
- 示談内容
- 支払い方法
- 損害額
- 過失割合
- 支払金額
保険会社毎にフォーマットや書式は異なりますが、以上のような事項が示談書内には記載されています。
これらの事項が書かれた上で、最後に事故の当事者が署名押印する欄が用意されているのが一般的な示談書の書式です。
確認すべきポイント1:事故の日時、場所、事故の内容
事故の日時や場所、当事者などは必ず確認しておきましょう。
基本的な事ですが、万が一当事者が異なっていたり、事故の日時、場所が異なっている場合には、成立したと思った示談の効力が否定される可能性もあります。
また、事故の内容は過失割合や損害額に影響するため、最終的な支払金額が大きく変わる可能性があります。
事実が正確に記載されているか確認しておきましょう。
確認すべきポイント2:示談条件・示談内容
示談書は一度締結してしまうと、その後に新たな損害が見つかっても請求することは原則として困難となります。
そのため、示談条件がどのようになっているのか、最終的にどちらが責任を負うのかなどについて、しっかりと確認しておきましょう。
確認すべきポイント3:支払い方法
示談金額が満足のいくものとなっていても、実際に支払われなければ意味がありません。
いつまでに、どのような方法で支払われるのか、希望した条件に添うのか確認しておきましょう。
物損に関する示談書の場合は、修理費用は直接修理工場への振込、代車費用や直接レンタカー会社への振込、など振込先を指定する場合があります。そのため、振込先についてもよく確認する必要があるでしょう。
確認すべきポイント4:損害額、過失割合
最も重要な箇所です。損害額の中に交通事故で発生した損害、例えば車両に関する修理費や治療費、通院費、交通費、後遺障害に対する慰謝料などが適切に反映されているか、何か漏れている損害が無いかはしっかりと確認しておきましょう。
また、事故当時の過失割合も前述の通り最終的な金額に影響するため、事実がきっちりと反映されているか確認する必要があります。
確認すべきポイント5:支払金額
支払金額には、過失割合などが考慮された上での最終的な支払金額が記載されています。
これまで確認した損害や過失割合などを念頭においた上で適切な金額となっているか確認しておきましょう。
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相手方の保険会社から提示された示談書の内容を弁護士に相談する必要性とメリット
ここまで示談書について確認すべき事項などを説明しましたが、多くの方は保険会社が提示する金額と弁護士基準の金額がどのくらい違うのかといった点や、確認すべき事項が多いため難しいと感じられたのではないでしょうか。
そこで、ここからは保険会社から提示された示談書の内容を弁護士に相談することについて、どのようなメリットなどがあるのか解説します。
賠償額が高くなる可能性
前述の通り、保険会社が提示する賠償額は保険会社が独自に設けた基準に基づいて算定する金額となっていることが通常です。
そのため、弁護士が考える妥当な金額よりも安くなっていることが多く、金額の妥当性と交渉の可否を弁護士に判断してもらうことができます。
また、金額を変更するにあたっては保険会社との交渉が必要となりますが、こうした交渉も弁護士に委任することができるため、これまで接してきた担当者に金額変更を言いづらいという方でも安心して任せることができます。
交通事故は一生に一度あるかないかという場面であり、そこで支払われる賠償額は一生を左右する場合もあります。弁護士に相談することで、このように重要な補償の賠償額が高くなる可能性があります。
示談書の意味や内容を正確に理解できる
弁護士へ相談するもう一つのメリットとしては、プロである弁護士が示談書の内容を確認することで、これから締結しようとしている示談書の内容について説明を受け、正確な内容を把握した上で示談ができるという点も挙げられます。
示談書は確認すべき事項が多く、またこれらの記載が適切な内容となっているかを判断するのは専門家でなければ難しいでしょう。
こうした点について弁護士に相談を行う事でしっかりと確認をしてもらい、正しい内容であることが分かった上で示談書を締結する必要があります。
一度示談書にサインをしてしまうと、請求漏れがあった場合などに再度請求をすることはできなくなります。
後で後悔することの無いように、示談書を弁護士に確認することを依頼するのは、こうした点からもメリットのあるものといえます。
裁判になった場合でも最後まで対応が可能
弁護士に依頼する最大のメリットは仮に裁判に発展した場合でも、弁護士が引き続き代理人となって最終的な解決まで対応が可能という点にあります。
裁判になった場合にどのくらいの金額が請求可能かなど見込みを立てた上で、保険会社との交渉にあたることができるため、より満足度の高い交渉が可能となります。
こうした、裁判を見越しての示談交渉が可能という点は、弁護士という法律の専門家に相談する最大のメリットといえるでしょう。
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保険会社から示談書の提示を受けた時は弁護士へご相談を!
保険会社から提示された示談書は必ずしも適正な金額が反映されたものとは限らず、弁護士に内容の確認を依頼し、保険会社との交渉を任せることで保険会社から提示された金額よりも大幅に金額が増額することも期待できます。
示談書の内容は保険会社が作成していて変更できないものと考えていましたが、そうでは無いんですね。支払金額や事故の内容についていくつか不満があったので、一度弁護士へ相談してみようと思います。保険会社と交渉が必要になった場合にはよろしくお願いします。
保険会社から提示された示談書が必ずしも適切な金額が示されているとは限りません。交通事故の示談は一生に一度あるか無いかの大事な場面です。ご納得のいく金額で示談できるように、全力を尽くしますので、一緒に頑張りましょう。
保険会社から提示された示談書の内容や金額に疑問がある方や、示談書の内容が適切なのか分からないとお悩みの方は是非当事務所へご相談ください。
当事務所ではLINEでの相談を行っており、24時間いつでも交通事故に関する相談を受け付けています。
交通事故の解決実績が豊富な弁護士が最適なサポートをさせていただきます。まずは、ご相談下さい。
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