交通事故に遭った専業主婦(主夫)が休業損害を請求する際のポイント

交通事故に遭った専業主婦(主夫)が休業損害を請求する際のポイント

先日青信号を渡ろうとしていたら、自動車とぶつかってしてケガをしてしまい、一ヶ月ほど入院してしまいました。入院中はもちろん、退院後も家事に支障が出ています。専業主婦の場合には治療費しか請求できないのでしょうか?

専業主婦の方は実収入が無いため、サラリーマンの方のような休業損害が請求できないと考えられている方がいらっしゃいます。しかし、専業主婦の方も休業損害の請求は可能です。

今回は、専業主婦や主夫の方が休業損害を請求する際のポイントについて解説します。

この記事の監修弁護士:浅尾 耕平
2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。交通事故、労働災害をはじめ多様な事件に従事。

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目次

専業主婦(主夫)でも交通事故による休業損害は認められる

専業主婦(主夫)でも交通事故による休業損害は認められる

交通事故の被害者は、交通事故によって受けたケガによって仕事を休んだ場合、仕事を休んだことによって生じた損害、いわゆる休業損害の請求が可能です。

他方で、専業主婦(主夫)の方は収入が無いため、こうした休業損害は請求できないとも考えられそうです。

しかし、交通事故の損害賠償の場面では、専業主婦の方は家族の方に代わって家事労働という労働に従事しており、交通事故によってこれに従事することができなくなったと考えます。こうした家事従事者の休業損害は法的には請求できるのです

シングルマザー(シングルファザー)の場合

専業主婦の方に休業損害が認められる根拠は、家族の代わりに家事労働を行っている点に求められます。

そのため、一人暮らしで家事のみを行っている方は、家事従事者に該当せず、休業損害は認められません。

他方で、シングルマザーやシングルファザーについては、子のために家事労働を行っていることになるため、家事従事者に該当し休業損害が認められることになります

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専業主婦(主夫)の休業損害の計算方法

専業主婦(主夫)の休業損害の計算方法

では、専業主婦の休業損害は具体的にどのように計算するのでしょうか。

次に専業主婦の休業損害の計算方法について解説します。

休業損害の基本的な計算式

休業損害をはじめとする交通事故の損害賠償については、弁護士基準、任意保険基準、自賠責基準の3つの基準があります。

弁護士基準が最も高額になる傾向にあり、自賠責基準が最も低額になりやすくなっています。

休業損害については、後述するように基礎収入額や休業日数の考え方が異なるため最終的な請求額が変わります

休業損害の基本的な計算方法は、以下のようになります。

専業主婦(主夫)の休業損害の基本的な計算式

(基礎収入額×休業割合)×休業日数

基礎収入額

基礎収入額とは、交通事故のケガによって休んでいなければ得られたであろう収入の額のことをいいます

この基礎収入額については、前述の通りどの基準を用いるかによって金額が異なります。

例えば自賠責基準を用いた場合には1日6100円となります。

これに対して、弁護士基準に従う場合には、専業主婦の方の基礎収入額は賃金センサスによって決定します。

<補足:賃金センサスとは>
賃金センサスとは、厚生労働省が行っている「賃金構造基本統計調査」のことで、毎年、学歴・性別・年齢等によって分類した平均賃金を算出し公表されています。
専業主婦の場合には、女性の全年齢の平均給与額または女性の年齢別の平均給与額が基礎収入額となります。

休業日数

休業日数とは、文字通り交通事故のケガによって休んだ日数のことを意味します

自賠責基準に従った場合には通院した日数が休業日数とされることが多いです。

これに対して、弁護士基準で請求する場合には、実際に通院した日ではなく通院期間を休業日数として請求することが可能なことがあり、この場合は自賠責基準よりも大幅に有利になります

休業割合

休業割合とは、家事従事者の場合には交通事故のケガによって家事を行うことが1日のうちどの程度できなかったのかを表すものです

例えば、ケガによって入院してしまった場合には入院期間中は全く1日中家事をすることができないため、休業割合は100%となります。

他方で、ケガの内容や通院状況によっては1日の家事のうち何割かは可能であったケースも考えられます。こうしたケースではその割合に応じて休業割合が決められることになります

また、治療が進み症状が軽くなっていく中で家事に従事することができる時間は必然的に増加するため割合が下がっていくという考え方もあります。
このように休業割合は様々な要因をもとに決定される点を押さえておきましょう。

休業損害の計算方法については、以下の記事でもご紹介しておりますのでご参考ください。

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専業主婦(主夫)の休業損害の請求方法

専業主婦(主夫)の休業損害の請求方法

では、実際に休業損害を請求する場合、会社員等であれば会社が休んだ期間の証明をしてくれますが、専業主婦の場合にはこうした証明は難しくなります。

そこで、専業主婦の場合にはどのような請求方法をとる必要があるのでしょうか。ここからは必要な書類や書式などについて解説します。

提出する書類

専業主婦が休業損害を請求するためには、前述の通り家族のために家事に従事していたといえる必要があります。

そのため、家族構成の分かる書類が必要となります。具体的には、家族構成が確認できる住民票がこれに該当します

また、主夫の場合には非課税証明書や配偶者の所得証明が求められるケースもあるため、念のため留意しておきましょう

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専業主婦(主夫)の休業損害請求で重要なポイント

画像を入れる

専業主婦が休業損害を請求するうえで問題となりやすいのが、症状の程度が分かりにくいため家事の遂行にどの程度影響があったのかという点について争いが生じやすいという点です

というのも、専業主婦には、会社員等と異なって就労時間を証明できる書類や収入の減少が証明できる書類がなく、家事は家庭内で行われることが多いため症状による影響がどの程度あったか第三者からは判断がつきにくいからです。

そこで重要となるのが、交通事故のケガによって実際にどういった支障が家事に出たのかや、どのくらい休まないといけなかったかなどを記録しておくことです

こうした記録は実際に家事にどの程度影響があったのかを示す証拠となるため非常に重要です。日ごろからつけている日記にケガによる家事への支障について記録しておくのも1つの方法です。

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専業主婦の休業損害の請求は弁護士へ依頼するのがおすすめ

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入院していて家事ができなかった期間の休業損害が請求できる可能性があると聞いて安心しました。退院後も体調が悪くて家事ができなかった期間があるので、こうした期間の交渉も含めてお願いしたいと思います。

会社員等の場合と比較して、専業主婦の方が休業損害を請求するにあたっては休業割合の考え方や、家事への影響など複雑な部分があります。最適な補償が受けられるよう最善を尽くさせていただきます。

専業主婦(主夫)の方の休業損害の請求は、会社員の方等の場合と比較して専門家による判断やサポートを受ける方がより適切な補償を受けるうえで重要といえます。

当事務所では経験豊富な弁護士へLINEで相談が可能です。専業主婦(主夫)の方で休業損害の請求にお悩みの方はぜひお気軽にご相談ください

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