交通事故には、被害者の方がケガをしてしまう人身事故以外にも、「物損事故」と呼ばれる事故があります。
先日、新築したばかりの自宅へ自動車が激突する事故がありました。自宅の破損の他にも飼っていた犬が衝突にまきこまれて死んでしまいました。保険会社からは、自宅の破損とペットの死亡については物の損害として賠償すると連絡がありました。新築したばかりの家、家族同然のペットの死について、とてもショックを受けています。
突然大事にされていたペットが亡くなってしまったとの事、ショックを受けられてしまうのも無理はありません。法律上は、ペットの怪我や死亡は【物損事故】として取り扱われ、人身事故と少し異なる部分があるため、詳しくご説明します。
今回は物損事故でどのような損害賠償が請求可能かといった点について解説します。
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物損事故とは?
「物損事故」という言葉を耳にしたことのある方は多くいらっしゃると思いますが、正確に理解されている方は意外に少ないのではないでしょうか。
そこで、まずは物損事故とは何かについて解説します。
物損事故
物損事故とは、交通事故によって死傷者がおらず物だけが壊れてしまった事故のことをいいます。
典型例は、自動車がガードレールに突っ込んでしまい、ガードレールを破損してしまったようなケースです。
飼い主は納得できないと思いますが、ペットが交通事故に遭って死傷した場合は、物損事故として取り扱われます。現在の法律では動物は物として扱われているためです。
物損事故と人身事故の違い
これに対し人身事故とは、交通事故によって死傷者が生じた場合のことをいいます。
人身事故には自動車損害賠償保障法(自賠法)の適用がありますが、物損事故には適用がないため、物損事故に遭った場合は運行供用者責任(自賠法3条)による損害賠償請求ができず、不法行為責任(民法709条)による損害賠償請求をすることになります。
この場合、被害者が加害者の過失を立証する負担を負います。
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物損事故で請求できる費目
ここからは物損事故に遭った場合にどういった費目について損害賠償を請求できるのかについて解説します。
物損事故で請求できる費目
物損事故で請求できる費目は以下のようなものが挙げられます。
車両に生じた損害
主には車両の修理費用などがこれに該当します。
なお、注意が必要なのは修理に要した費用であればすべてが認められるというものではなく、あくまでも修理に必要かつ相当と認められる範囲内でのみ認められます。
車両が使えなくなったことにより生じた損害
事故によって車両の修理が客観的に不可能な場合(物理的全損)、修理が客観的に可能であっても要する修理費相当額が車両時価と想定買替諸費用の合計額を上回る場合(経済的全損)は、事故時の時価相当額を損害として請求できます。
また、修理や買替の期間に代車を使用した場合、その必要性・相当性が認められる範囲で代車使用料が損害として認められます。
買い替えに要する諸費用
物理的全損や経済的全損により車両を買い替える場合、車両代金のほかに様々な費用が発生します。
消費税・地方消費税相当額、自動車取得税、登録・車庫証明等の法定手数料、これらの代行手数料相当額、リサイクル法に基づくリサイクル関連費用、ナンバープレート代、車検整備費用、事故車両の自動車重量税未経過分、廃車のための法定手数料・代行手数料相当額等が損害として認められています。
物損事故と損害の証明について
物損事故の場合、警察による事故後の実況見分調書等が作成されません。
そのため、事故後の状況や損害等の状況について基本的に被害者側で立証を行い、請求する必要があります。
なお、もらい事故の場合の慰謝料についてはこちらの記事もあわせてご参考ください。
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物損事故で例外的に慰謝料が認められたケース
慰謝料は、基本的に被害者が受けた精神的な苦痛に対するてん補として賠償がされるものであり(民法710条)、物損事故の場合は損害が財産的損害に限られるため、物損を理由とする慰謝料は原則として認められません。
では、物損事故の場合には常に慰謝料請求は認められないのでしょうか。
ここからは物損事故において例外的に慰謝料請求が認められたケースについて解説します。
家族同然のペットが死傷したケース
ペットは法律上は物として扱われるため、ペットが死傷しても原則として慰謝料は請求できません。
しかし、家族同様に愛情を注いでいたペットが事故により死傷した場合に、強い精神的苦痛を生じたと評価されるときは、慰謝料請求が認められることがあります。
自宅が大きく破壊されたケース
自宅が大きく破壊された結果、生活の平穏を害され、これによって多大な精神的苦痛を被った場合、慰謝料請求が認められることがあります。
墓石が破壊されたケース
事故によって、家族が埋葬されている墓の墓石が損壊された場合等は、被害者が被った精神的苦痛について慰謝料請求が認められることがあります。
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ケガをしている場合は人身事故への切り替えを!
物損事故においては、慰謝料は基本的に損害費目とはなりません。
ただし、当初は物損事故と扱われていても、後日ケガが発覚した場合等は、人身事故として切り替えることも可能です。人身事故への切り替えなども含めてぜひ弁護士へご相談ください。
家族同然のペットが死んでしまい、大変ショックを受けていました。しかし、慰謝料請求ができる可能性もあることを知りましたので、あの子の無念を晴らすためにも出来る限りのことをしたいと思います。今後もご相談させてください。
物損事故に遭った場合、慰謝料請求を検討したりケガをされた方がいらっしゃる場合には人身事故へ切り替えることを検討したりすべきケースがあります。物損事故についても、適正な賠償が受けられるよう最善を尽くさせていただきます。
当事務所では交通事故の豊富な解決実績を有する弁護士へLINEでいつでもご相談いただけます。
ぜひ、当事務所へご相談ください。
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