人身事故と物損事故の違い|人身事故への切り替え方について

人身事故と物損事故の違い|人身事故への切り替え方について

この前、買い物に行った際、駐車場内で車と衝突してしまいました。最初は物損事故として警察へ報告していたのですが、事故後に首の痛みや、手指のしびれを感じるようになりました。人身事故へ切り替えたほうがいいのでしょうか?

事故後に症状が現れてご不便なことと思います。一度物損事故としていたものも警察へ連絡をすることで人身事故へと切り替えることが可能です。

今回は、物損事故を人身事故へと切り替える方法・手続きについてご解説します。

この記事の監修弁護士:浅尾 耕平
2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。交通事故、労働災害をはじめ多様な事件に従事。

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目次

物損事故と人身事故の違い

物損事故と人身事故の違い

物損事故を人身事故の手続きへ切り替える方法について解説する前に、物損事故と人身事故の違いについてご説明します。

物損事故とは

物損事故とは、交通事故によって人の生命や身体へ損害を生じておらず、車両や建造物、携帯品などに損害を発生したのみの交通事故のことをいいます

  • 自動車同士が接触したが、自動車のフロントや側面などに傷ができただけで、運転手や同乗者にはケガが無かったケース
  • 車両の操作を誤って家の門に衝突し、門が破損したが運転手にケガは無かったケース
  • 自動車に後方から衝突され、後ろに乗せていたペットがケガをしてしまったが運転手にはケガは無かったケース 等

あくまでも一部の例ですが、以上のようなケースはいずれも人の生命や身体への損害(人的損害)が無いため、物損事故に該当します。

なお、大切な家族であるペットがケガをしているのに、物損事故というのは違和感があるかと思いますが、ペットは法律上は物(財産)として取り扱われることになります

物損事故の慰謝料については、以下のお役立ち記事でも解説しています。ぜひ併せてご参考ください。

人身事故とは

人身事故とは、交通事故によって人の生命や身体に損害が生じた事故のことをいいます

運転手だけではなく、同乗者がケガや死亡した場合もこれに含まれます。

  • 自動車のアクセルとブレーキを踏み間違えて、誤って歩行者をはねてケガをさせてしまったケース
  • 自動車同士が正面衝突し、運転手がケガをしたケース
  • 自動車の側面に自動車が衝突した結果、運転手は無事であったが、同乗者が死亡してしまったケース 等

あくまでも一部の例ですが、以上のようなケースはいずれも人の生命や身体に損害を生じていることから人身事故に該当します。

つまり、人身事故と物損事故とは、損害を生じた対象が人かそれともそれ以外の物かという点で異なる交通事故です

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ケガをしているのに物損事故として処理するデメリット

ケガをしているのに物損事故として処理するデメリット

では、冒頭の相談者のケースによってケガをしているのにもかかわらず物損事故として処理することにはどのようなデメリットがあるでしょうか。

ここからは、ケガをしているのに物損事故として処理するデメリットについてご解説します。

示談金が低くなる可能性がある

被害者は物損事故・人身事故のいずれにおいても加害者に対し損害賠償請求権を有していますが、物的損害しか無い物損事故と人的損害を生じる人身事故では請求できる内容が異なります。

例えば、人身事故ではケガをしたために必要となった治療費や入通院のために被った精神的苦痛に対する慰謝料、後遺症が残った場合の慰謝料や逸失利益など様々なものが請求の対象となります。

これに対し、物損事故の場合には壊れてしまった物の修理費用や、その物の価値に対する賠償などに限定されます。また、慰謝料については原則として請求できません

そのため、物損事故は保険会社に対する慰謝料や治療費の請求が難しくなります

物損事故として処理すると示談金の金額が非常に低額になってしまうという点が大きなデメリットとなるため、交通事故後にケガが発覚したケースでは速やかに人身事故へと切り替えるようにしましょう

しかし、保険会社次第では物損事故のままでも人身事故同様の支払いを行うというケースもあるため、ケガをしていてもやむを得ない理由で人身事故への切り替えを行わない場合は、まずは保険会社に対応を確認してみましょう。

実況見分調書の作成がされない

一般的に交通事故においては、過失割合に従って損害賠償を受けることになります。

この過失割合は交通事故の状況毎に類型化されて決まっています。

そのため過失割合を決定する上で、交通事故の状況は極めて重要な意味を持ちますが、この過失割合について被害者と加害者の間で争いが生じた場合、交通事故の状況を証明するために警察が作成した「実況見分調書」は非常に重要な証拠となります。

しかし、物損事故の場合にはこの実況見分調書が作成されないため、過失割合について争いとなった場合に適切な交渉を行う事が難しくなります

この点も物損事故として届け出る大きなデメリットといえるでしょう。

後遺障害申請の結果に影響が出る可能性がある

上記の通り、物損事故においては実況見分調書が作成されず、交通事故証明書においても「物件事故」と記載されることになります。

後遺障害申請は基本的に書類審査のみとなり、申請時には事故証明書の提出が必要となります。

ケガをしているにも関わらず、事故証明書が人身事故扱いとなっていない場合、【軽微な事故であったために人身事故扱いにしなかったのではないか】と判断され、マイナスの評価となる可能性があります

後遺障害が認定されるか否かで賠償額が数百万単位で差が出ることがあるため、適切な賠償を受けるためにも、ケガをしている場合は人身事故への切り替えを行いましょう。

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物損事故から人身事故への切り替え方

物損事故から人身事故への切り替え方

では、物損事故として届け出たケースで後日人身事故への切り替えを行う場合には、どういった手続きや方法があるのでしょうか。

ここからは物損事故から人身事故への切り替え方についてご解説します。

病院の診察を受け、医師に診断書を書いてもらう

人身事故として扱うためには、交通事故によってケガをしたことを証明する必要があります。

そのため、まずは病院へ行って診察を受け、医師から交通事故によってケガをしたことを内容とする診断書を作成してもらう必要があります。

また、病院へ行く前に相手方の保険会社へ連絡し、病院へ行く旨を伝えた上で、治療費の支払い方法について確認しておくと良いでしょう。

そして、医師には、交通事故に遭った日や事故の内容、いつから症状が出ているのかを正しく伝えましょう

ここを正しく伝えておかないと、医師から交通事故との因果関係がないケガと診断される可能性があり、今後の治療費や慰謝料等の支払いに影響が出るため注意が必要です。

管轄の警察署に人身事故として届け出る

診断書を受け取ったら、次は警察へと人身事故として切り替えてもらうよう手続きをする必要があります。

その際には事前に連絡しておき、必要な書類、担当者名、窓口を聞いておくと当日の手続きがスムーズです

具体的に期限が決まっているものではありませんが、交通事故から期間が経てば経つほど、警察から人身事故への切り替えを拒否される可能性があるため、注意が必要です

症状が現れたら早期に病院へ行き、警察への届け出(人身事故への切り替え)を行いましょう。

また、人身事故への切り替えには加害者、被害者双方による手続きが必要と説明されるケースがありますが、常に必要とは限らないため、双方で来署することが難しい場合には、その旨を事前に説明しておくと良いでしょう。

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人身事故に切り替える際に弁護士に依頼するメリット

人身事故に切り替える際に弁護士に依頼するメリット

ここからは人身事故に切り替える際に弁護士に依頼するメリットについてご説明します。

慰謝料の増額が見込める

交通事故の示談金や慰謝料等については、算定基準が弁護士基準、任意保険基準、裁判基準の3つの基準があります。そのうち、最も高額な金額となる傾向にあるのが弁護士基準です。

しかし、この弁護士基準での請求は、当事者と保険会社とのやりとりでは用いられにくく、弁護士が関与することではじめて用いられるケースがほとんどです。そのため、弁護士へ委任することで慰謝料の増額を見込むことができるというのは大きなメリットといえるでしょう。

また、慰謝料の相場や算定方法に関しては、以下のお役立ち記事もご参考ください。

示談交渉をすべて任せられる

被害者はケガをしているため、治療を行いつつ難しい交渉をご自身で行うというのは被害者にとって大きな負担となります。

弁護士へ交渉を委任することでこうした負担から解放され、被害者の方は治療に専念することができるのも大きなメリットです

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人身事故の慰謝料・損害賠償のお悩みは弁護士にお任せください

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人身事故への切り替え方法が分かって安心しました。まずは病院へ行って診断書を作成してもらおうと思います。

物損事故と人身事故では被害者の方が受け取ることができる賠償が大きく異なるため、人身事故への切り替えを行うのは非常に重要です。適切な補償が受けられるよう最善のサポートをさせていただきます。

物損事故から人身事故への切り替えや、交通事故で負ったケガでお悩みの方は是非当事務所へご相談ください

当事務所では交通事故の実績豊富な弁護士へいつでもLINEでお気軽にご相談が可能ですので、お気軽にご相談ください。

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