当て逃げ事故に遭った場合の対処のポイント|泣き寝入りしないためには?

当て逃げ事故に遭った場合の対処のポイント|泣き寝入りしないためには?

先日自動車を運転していた際、対向車に接触されてしまいました。そのまま車は走り去ってしまいましたが、後で見ると傷が付いていて、どうすれば良いのか分らず困っています。

当て逃げ事故に遭われてしまったのですね。加害者が分らないとのことで大変ご不安なことと思います。当て逃げの場合には対処に注意が必要となる点があります。

今回は、当て逃げ事故の被害に遭った場合の対処方法や注意すべき点について解説します。

この記事の監修弁護士:浅尾 耕平
2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。
2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。交通事故、労働災害をはじめ多様な事件に従事。

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目次

「当て逃げ事故」とは

「当て逃げ事故」とは

当て逃げ事故の対処方法について解説する前に、そもそも当て逃げとは何か、当て逃げ事故の概要についてまずは解説します。

「当て逃げ事故」の法的な定義

「当て逃げ事故」という言葉は実は法律上定められた言葉ではありません

一般的には交通事故を起こしたにも関わらず、負傷者や被害物件を放置してそのまま立ち去る行為を「当て逃げ」または「ひき逃げ」と呼びます。

これに対して、法的には「当て逃げ」とは道路交通法で定められた義務を怠ることを意味します

道路交通法第72条第1項では交通事故の際に以下の義務が定められています。

(交通事故の場合の措置)
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。

※太字は執筆者が追記

道路交通法第72条第1項

以上の道路交通法の定めからは、交通事故の際には運転者などは、①救護措置義務 ②警察への報告義務を負っています

したがって、交通事故を発生させたにもかかわらず、これらの義務を果たすこと無く、現場を立ち去ってしまう行為が当て逃げまたはひき逃げとなります。

「当て逃げ」と「ひき逃げ」の違い

では、「当て逃げ」と「ひき逃げ」はどういった点が異なるのでしょうか。

一般的には「当て逃げ事故」と呼ぶ事故は、自動車や積載物等の物にのみ被害が発生する物損事故の場合に用いられます。

そのため、当て逃げ事故とは交通事故を発生させて被害者の自動車や積載物を破損したにもかかわらず、道路における危険を防止する等の必要な措置を行わず、警察への報告をしないことをいいます

これに対して、「ひき逃げ事故」とは人を負傷・死亡させる人身事故の場合に用いられることが多いです。

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当て逃げ事故に遭った場合の初期対応

当て逃げ事故に遭った場合の初期対応

では、当て逃げ事故に遭った場合、初期対応はどういった行動を取るべきでしょうか。

ここからは当て逃げ事故に遭った場合の初期対応について解説します。

警察への通報

初に行うのが警察への報告です。というのも、前述の通り事故を起こした場合には警察への報告義務が課されています

当て逃げ事故の被害にあった場合、相手方が現場をはなれてしまっているため、警察へ報告しても意味が無いのではないかと考える方もいます。

しかし、加害者が不明であっても、警察への事故報告は可能です。届出をもとに捜査が行われた結果、目撃証言などをもとに加害者が見つかるというケースもあります。

また、加害者が不明のままであっても、事故が発生した事実を警察へ届出しておくことで、交通事故証明書の取得が可能になります

交通事故証明書は、のちに加害者が判明して請求を行う場合だけでなく、加害者が不明のままで被害者自身の保険を利用する場合にも必要となります。警察への報告は必ず行うようにしましょう

証拠の収集と保全

警察への報告ができたら警察を待っている間に証拠の収集や、保全を行いましょう

特に当て逃げ事故は加害者も事故の状況を確認しないで立ち去っているため、被害の状況について加害者と被害者の間で主張が食い違ってしまう可能性や、損害について当て逃げにより生じたものでは無いと否認される可能性もあります。

そのため、以下のポイントをおさえて証拠の収集と保全を行いましょう。

  • 被害車両の損傷部分、損傷部分とナンバープレート両方が入った写真を撮影しておく
  • ドライブレコーダーの映像の確認・保存
  • 防犯カメラの確認と管理者への連絡
  • 目撃者の確認・連絡先の交換

特に重要となるのがドライブレコーダーの映像の確認です

当て逃げ事故では目撃者がいないケースも多いため、実際の事故の状況や加害者を特定するためにドライブレコーダーの映像が非常に重要となります。

ドライブレコーダーの映像は上書き保存されていく場合もあるので、映像を確認し、確実に保存しておきましょう。
その際には保存の設定や映像の記録期間も確認しておくと安心です。

自分の保険会社へ連絡する

当て逃げの場合には加害者がすぐには判明しないケースも多く、修理費用などは自分で負担するか、自身が加入している任意保険(車両保険)を利用することになります。

損害額や保険料への影響を確認した上で保険を利用するかどうかを決めることが可能ですので、まずは保険会社へ連絡してみましょう。

自身の保険を利用する場合には以下の点に注意しましょう。

  • 当て逃げ事故(相手が不明な事故)では保険が使用できない場合がある
  • 翌年の保険料が上がってしまう場合がある

特に注意が必要なのが保険料への影響です。

保険料の増加額によっては、修理費用は保険を使わず自分で負担した方が得な場合もあります。

保険料への影響については、保険会社の担当者へ確認すれば回答してもらえます。

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当て逃げした犯人への対応について

当て逃げした犯人への対応について

当て逃げは多くの場合、事故発生後すぐには犯人が不明です。

では、警察への通報やドライブレコーダーの画像などから犯人が特定できた場合にはどういった対応を行うべきでしょうか。

ここからは、犯人が特定できた場合に行う対応について解説します。

損害賠償を請求する

当て逃げの犯人を特定できた場合は、相手に対し、損害賠償を請求しましょう。

適切な賠償を受けるには示談交渉を弁護士に委任することが重要です

当て逃げの被害に遭った場合に請求できる内容としては主に以下のものが挙げられます。

当て逃げの被害にあった場合に請求できる内容
  • 車両の修理費用、または時価額のいずれか低い方の額
  • 代車使用料
  • レッカー代
  • 積載物に発生した損害
  • 車両全損となった場合の買い替え諸費用
  • 壁や塀などの修理費用

主な費目としては以上のものがあります。

注意が必要なのは、車両の買い替え諸費用です

買い替え諸費用は常に認められるわけでは無く、修理費用の方が買い換え費用よりも高額となる、いわゆる車両全損で、実際に車両を買い替えするケースでのみ認められます

なお、人身事故の際に一般的に認められる慰謝料は、当て逃げ事故のような物損事故の場合には基本的に認められません。

物損事故の慰謝料については、こちらの記事でも解説しておりますのでぜひご参考ください。

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当て逃げされて泣き寝入りしないためには?

当て逃げされて泣き寝入りしないためには?

当て逃げ事故では、加害者が不明のまま被害者が修理費用を支払い、そのまま泣き寝入りとなってしまうケースが少なくありません。

当て逃げ事故に遭った場合に泣き寝入りしないためのポイントについて解説します。

証拠の収集と保全を徹底する

泣き寝入りを防ぐために最も重要なのは、加害者を特定することです。そのためには証拠収集と保全を徹底することが重要です

加害者の特定のためには前述の通り、ドライブレコーダーが重要となりますが、それ以外にも重要なのが防犯カメラの確認です。 

特に駐車場などで当て逃げ事故が起きた場合には、防犯カメラに加害者の車両のナンバーが撮影できているケースも少なくありません。

当て逃げ事故にあった場合にはドライブレコーダーの画像だけでなく、付近に防犯カメラが設置されていないかを確認し、警察へもカメラの映像確認を要請しましょう。

少しでもケガをしている場合は人身事故での届出を

当て逃げ事故は「物損事故」です。

他方で、被害者がケガをしているにも関わらず警察に報告しないで立ち去る行為は「ひき逃げ」となります。ケガをしている場合には適正な補償を受けるという観点からも必ず人身事故として届けるようにしましょう

なお、当初は物損事故として届けている場合でも、人身事故へ切り替えることも可能です

病院の受診をした場合には、人身事故への切替について警察へ連絡するようにしましょう。

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当て逃げされた場合の示談については弁護士にご相談ください

当て逃げされた場合の示談については弁護士にご相談ください

当て逃げ事故の場合にどういった対応をすべきか分って少し安心しました。まずは現場に防犯カメラがなかったか、目撃者がいないか再確認した上で、自分の任意保険を使うことも視野に入れてみたいと思います。

当て逃げは加害者の特定が難しい場合もありますが、目撃情報や防犯カメラの映像などの客観的な証拠があれば非常に有利になります。加害者が特定できた場合には適正な補償を受けるためにも示談交渉は弁護士へご相談ください。

当て逃げ事故で被害に遭ってお悩みの方は是非弁護士へご相談ください。弁護士へ相談した場合にかかる費用についてもご自身が加入している保険の弁護士費用特約を利用する事でご自身の負担を大幅に軽減することができます。

当事務所では当て逃げ事故をはじめとした交通事故の経験豊富な弁護士へいつでもLINEで相談可能です。ぜひご相談ください

弁護士費用特約を利用して弁護士への依頼をご検討されている方は是非当事務所へご相談ください

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