労災指定病院とは?知らないと損する治療費と手続きの大きな違い

労災指定病院とは?知らないと損する治療費と手続きの大きな違い
本記事の監修弁護士:菅原 啓人

本記事の監修弁護士:菅原 啓人

2021年1月弁護士登録(現在、東京弁護士会所属)。
都内の法律事務所にて、交通事故案件を中心に、労働事件、不貞、離婚事件等の一般民事事件を担当。
2024年10月ライトプレイス法律事務所に入所。
趣味は、野球観戦、映画鑑賞、旅行、スイーツ巡り等。

この記事のまとめ

職場で怪我をした時、どの病院に行くかで治療費の負担が大きく変わることをご存じですか?

労災指定病院とは、労災による怪我や病気の治療で労災保険が直接適用される医療機関のことです。一般の病院では数万円から数十万円の治療費を一旦自分で支払う必要がありますが、労災指定病院なら窓口での支払いは基本的に0円。手続きも簡単で、必要な書類を病院に提出するだけで完了します。

全国に約5万か所ある労災指定病院は、厚生労働省の検索サイトで簡単に調べることができます。

目次

労災指定病院とは?

以下の事例を見てみましょう。

【事例1:Aさんの場合】
工事現場で足を骨折したAさんは、救急車で運ばれた近くの病院で治療を受けました。請求書を見て驚いたのは、治療費が15万円だったこと。「労災なのになぜ?」と思ったAさんでしたが、その病院は労災指定病院ではありませんでした。

【事例2:Bさんの場合】
【事例1】のAさんと同じような怪我をしたBさんは労災指定病院で治療を受け、窓口での支払いは0円でした。

労災指定病院とは

労災指定病院とは、正式には「労災保険指定医療機関」と呼ばれ、都道府県労働局長が指定した医療機関のことです。全国に約5万か所あり、町の小さな診療所から大学病院まで様々な規模の医療機関が含まれています。

重要なのは、この指定を受けている病院かどうかで、患者さんの負担が異なることです。

一般病院と労災指定病院、こんなに違う患者負担

治療費の支払い方法の違い

労災指定病院と、一般的な病院とで、以下のような違いがあります。(受診は、労災による怪我であることを前提とします)

労災指定病院の場合
  • 窓口での支払い:0円(労災保険の範囲内)
  • 手続き:病院で書類提出のみ
  • 時間:その場で完了
一般の病院の場合
  • 窓口での支払い:全額(10割負担)
  • 手続き:労働基準監督署への申請が必要
  • 時間:還付まで数週間から数か月

実際の金額の差

業務時間内での作業中に、手の骨を折ってしまった場合を見てみましょう。

【事例】手の骨折で手術が必要になった場合

  • 手術費用:約20万円
  • 入院費用(1週間):約10万円
    • 合計:約30万円

労災指定病院なら窓口負担は0円ですが、一般病院では30万円を一旦支払う必要があります。

仕事での怪我の場合に労災指定病院を選ぶべき3つの理由

1. 経済的な安心感

労災による怪我は突然起こります。手持ちの現金がない状態でも、労災指定病院なら安心して治療を受けることができます。怪我の内容によりますが、1回の治療費に数万円~数十万円を立て替えするのは大きな負担と言えるのではないでしょうか。

2. 手続きの簡単さ

労災指定病院での手続きは必要な書類を病院の窓口に提出するだけなので、比較的簡単です。労働基準監督署に手続きのため通う必要もありません。

3. 治療に集中できる

お金の心配をしなくて済むため、治療に専念できます。「費用が心配で通院を控える」といった本末転倒な状況を避けることができます。

「でも労災指定病院が近くにないのでは?」と心配されている方へ

思っているより多くの病院が指定されています

「労災指定病院は特別な病院だけで、自分の住んでいるところにはないのでは?」と思われる方もいらっしゃると思います。

ただ実際には、身近な医療機関の多くが労災指定病院になっていることも多いです。具体的には、以下のような施設です。

  • 地域の総合病院
  • 整形外科クリニック
  • 内科・外科の小規模医院
  • リハビリ専門クリニック

実際に全国に約5万か所以上あるため、比較的見つけやすいといえます。

厚生労働省が提供している以下のページから、労災指定病院を検索することが可能です。 お住まいの近くにある労災指定病院をチェックしておきましょう。

厚生労働省 労災保険指定医療機関検索

労災指定病院にて受診する時に知っておきたいポイント

受診時にかならずやっておきたいこと

「労災です」と最初に伝える

病院受診時ははっきりと「労災」である旨を伝えましょう。病院での受診受付のタイミングや、緊急の場合、救急車で搬送されるタイミング等で、健康保険証の提示を求められることがあるかと思います。そのタイミングで、はっきりと「業務中」もしくは「通勤中」の怪我であることを申告しましょう。

労災保険と健康保険は併用ができないため、できれば労災保険を使用する意向であることを明確に申告するのがよいでしょう。

必要書類を揃える

労災保険の申請に必要な書類があります。以下の厚生労働省のサイトから記入様式をダウンロードできますので、記入例も見ながら作成しましょう。

参考:厚生労働省ホームページ(主要様式ダウンロードコーナー)

療養補償給付及び複数事業労働者療養給付たる療養の給付請求書 業務災害用・複数業務要因災害用(様式第5号)

療養給付たる療養の給付請求書 通勤災害用(様式第16号の3)

なお、この申請については以下の記事でも詳しく解説しています。

薬局でも同じ書類が必要であると覚えておく

上記で作成した書類は、病院外の薬局でも必要となってきます。そのため、申請書類は複数(2枚)持参すると安心かと思います。

【備考】もし申請用の書類を忘れたら

多くの労災指定病院では、一時的に1万円程度の「預り金」を求められます。後日書類を提出すれば全額返金されるので安心してください。

「今通っている病院は労災指定病院じゃない」という場合

転院自体は可能

既に一般の病院で治療を始めていても、労災指定病院への転院は可能です。転院により、「今後の治療費負担がなくなる」「手続きが簡単になる」といったメリットもあります。

転院の手続きの流れ

STEP
転院元の病院から紹介状をもらう

(必須ではありませんが、転院先での診療がスムーズになります)

STEP
労災指定病院に「労災での転院」であることを伝える
STEP
必要書類を提出する

労災指定病院以外との使い分け

こんな時は一般病院でもOK

以下のような場合は、一般の病院を受診するのも選択肢として良いかと思います。

  • 緊急時で労災指定病院が遠い場合
  • かかりつけ医での継続治療が重要な場合
  • 専門的な治療が必要で、その分野で評判の病院がある場合

ただし一般病院では、

  • 治療費をいったん10割立て替える必要がある
  • 後日、様式第7号で労基署に還付申請

という手続きが必要になります。

ある程度症状が落ち着いたら、労災指定病院への転院を検討するのも良いでしょう。

注意すべきポイント

労災として申請することが前提です

労災指定病院で窓口負担なしの治療を受けるためには、その怪我・病気を労災として申請する意思があることが前提です。

受診時点で労災の正式認定が済んでいる必要はありませんが、後日、労災として認められなかった場合は自己負担となるため注意が必要です。

会社が労災を認めない場合でも、労働者本人が直接申請できます。まずは労働基準監督署に相談すると良いでしょう。

なお、会社が労災を認めない場合の対応方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

保険適用外の費用について

労災保険を使用する場合でも、以下のような費用は保険適用外となり、自己負担になります。

  • 個室代(本人希望の場合)
  • テレビ・日用品などの雑費
  • 診断書代(用途によって自費になる場合あり)

困った時はどこに相談すべきか

会社が労災を認めてくれない…

書類への協力を拒否されている

後遺症や損害賠償の問題がある

上記のようなことに悩んでいたら、労災に詳しい弁護士へ相談しましょう。

労災申請、会社とのやり取り、後遺障害の手続きなどは専門性が高いため、早めに専門家へ相談することで、適切な補償を受けられる可能性が大きく高まります。
もちろん、弊所でも労災のご相談を承っておりますので、本記事下部のLINE友だち追加ボタンからお気軽に友だち追加し、お悩みをご相談いただければと思います。

まとめ:知識があなたを守る

労災指定病院の存在を知っているかどうかで、治療費の負担や手続きの煩雑さが大きく変わります。

覚えておきたいポイント

  • 労災指定病院なら窓口負担は基本的に0円(労災申請を前提とする場合)
  • 手続きは病院で完結
  • 全国約5万か所、厚労省サイトで検索可能
  • 転院も可能

労働災害は誰にでも起こりうることです。「その時」になって慌てないよう、今のうちに近くの労災指定病院を調べておくことをお勧めします。

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