不倫の慰謝料請求における調停の流れを詳しく解説〜申立てから成立まで〜

不倫の慰謝料請求における調停の流れを詳しく解説〜申立てから成立まで〜

本記事の監修弁護士:浅尾 耕平

2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。大阪、東京に拠点を持つ法律事務所に所属。
労働、商事関係を中心に訟務活動を担当しつつ、国際カルテル事案、企業結合審査等競争法対応、総合商社、メーカー等の一般企業法務等に従事。
2015年から、国内大手調剤・ドラッグストアチェーン企業、及びAIソフトウェア事業会社のインハウスローヤーとして、法務・コーポレートガバナンス実務を企業内から経験。

2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。

この記事のまとめ

不倫における慰謝料の調停は、配偶者の不倫・浮気で受けた精神的苦痛に対し、家庭裁判所の調停委員を通じて話し合いを行う手続きです。申立てから約1ヶ月で第1回期日が始まり、月1〜2回のペースで平均6ヶ月程度かけて進行します。

直接相手と顔を合わせる必要がないため、感情的になりがちな状況でも冷静な話し合いが可能です。ここでは、実際の手続きの流れを一歩ずつ丁寧に解説していきます。

目次

そもそも「調停」とは?

「調停」と聞くと難しそうに感じるかもしれませんが、要するに家庭裁判所で行われる「仲裁つきの話し合い」です。パートナーの浮気で深く傷ついたあなたと、相手の間に調停委員が入って、慰謝料について話し合いをサポートしてくれます。

大きなメリットは、相手と同じ部屋にいる必要がないこと。調停委員が交互に当事者の話を聞いてくれるので、「相手の顔も見たくない」という状況でも手続きを進められます。

また、感情的になってしまいがちな場面でも、第三者が冷静に状況を整理してくれるため、建設的な話し合いが期待できます。

離婚前なら「夫婦関係調整調停」の中で、離婚後なら「慰謝料請求調停」として、それぞれ手続きを利用できます。どちらも、基本的な流れは同じです。

申立て前に準備しておくべきこと

いきなり調停を申し立てても、準備不足では思うような結果を得られません。他の記事でも繰り返し説明していますが、まず必要なのは、不倫・浮気の証拠集めです。

不貞・不倫の証拠として有効なもの
  • 不倫相手とのメールやLINEのやりとり
  • 通話履歴(頻繁な連絡の記録)
  • ラブホテルに出入りする写真
  • 探偵事務所の調査報告書
  • クレジットカード明細(怪しい支出がないか)

「証拠なんてない…」と諦める前に、スマホの履歴や家計簿を見直してみてください。意外なところに手がかりが残っているものです。

慰謝料の金額も事前に考えておきましょう。不倫で離婚する場合の相場は150万円〜200万円程度ですが、あなたの状況によって変わります。結婚期間が長い、子どもがいる、相手の収入が多いといった要素で金額は上下します。

不倫の慰謝料の相場については以下の記事でも詳しく解説しております。

申立て手続きの流れ

準備が整ったら、いよいよ申立てです。提出先は、原則として相手の住所地を管轄する家庭裁判所となります。ただし、お互いが合意すれば別の家庭裁判所でも構いません。

申立てに必要な書類

  • 家事調停申立書

家事調停で使う書式:裁判所ホームページ

  • 戸籍謄本
  • 連絡用の郵便切手(金額は各裁判所に確認)

上記裁判所ホームページに、「書式の記入例」も用意がありますが、記載方法については専門家である弁護士に相談しながら進めるとよいでしょう。

書類を提出すると、1週間程度で担当の裁判官と調停委員が決まります。その後、第1回期日の日程調整が行われ、10日〜2週間程度で期日通知書が届きます。

調停開始後の流れ

調停は平日の午前(9時30分〜12時)または午後(1時15分〜5時30分)に行われます。指定された待合室で名前を呼ばれるまで待機し、調停委員に案内されて調停室に入ります。

調停委員は通常、男女1名ずつの2人体制。弁護士や元教師、地域の有識者など、様々な背景を持つ方々です。「怖い人だったらどうしよう」と心配される方もいますが、基本的に親身になって話を聞いてくれる方が多いので安心してください。

1回の調停は約2時間。あなたが30分話し、次に相手方が30分話し…という形で交互に進行します。この間、相手と顔を合わせることはありません。

第1回では主に事情聴取が中心です。「いつから不倫が始まったのか」「どんな精神的被害を受けたか」「なぜその金額を請求するのか」といった質問を受けます。感情的になりがちですが、できるだけ冷静に、事実に基づいて説明することを心がけましょう。

調停はどのくらい続く?

「早く終わらせたい」と思う気持ちは当然ですが、調停には一定の時間がかかります。通常は月1回のペースで開催され、平均的には2〜4回、期間にして約6ヶ月程度が目安です。

ただし、これは平均的なケースです。

相手が「絶対に払わない」と頑なな態度を取る場合は、1〜3回で不成立になることもありますし、逆に、お互いに話し合う意思がある場合は、条件の詰めに時間をかけて1年近くかかることもあります。

以下のような対応をとることで調停をスムーズに進めることができます。

  • 期日の日程は可能な限り早めに設定する
  • 裁判所からの連絡にはすぐに対応する
  • 最初から現実的な金額を提示する
  • 証拠や主張を整理して臨む

とはいえ、「なるべく早く解決したい」という気持ちは分かりますが、焦りは禁物です。じっくりと話し合うことで、より良い解決につながることも多いのです。

調停が終わったら何が起こる?

調停で合意に至った場合、その内容は「調停調書」という正式な文書にまとめられます。この調停調書、実は裁判の判決と同じ効力を持つ重要な書類です。

もし相手が約束を破って慰謝料を支払わなかった場合、この調書があれば強制執行手続きができます。つまり、相手の給与や預金を差し押さえて、強制的にお金を回収できるということです。

一方、調停が不成立に終わってしまった場合は、改めて訴訟を起こすことになります。訴訟は調停よりも時間もお金もかかりますが、最終的に裁判所が判断を下してくれます。

調停成立後の注意点

  • 離婚も含まれている場合は、10日以内に役場で離婚届の手続き
  • 慰謝料の支払い方法(一括・分割)を確認
  • 年金分割がある場合は別途手続きが必要

「やっと終わった…」とホッとする気持ちも分かりますが、最後の手続きまで気を抜かずに進めることが大切です。


パートナーの裏切りは、人生で最もつらい出来事の一つです。しかし、適切な手続きを踏むことで、きちんと償いを求めることができます。一人で抱え込まず、必要に応じて専門家の力も借りながら、前向きに進んでいきましょう。

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