不貞行為の証拠収集と立証方法|慰謝料請求・離婚に有利となる記録の集め方

不貞行為の証拠収集と立証方法|慰謝料請求・離婚に有利となる記録の集め方

本記事の監修弁護士:浅尾 耕平

2010年12月弁護士登録(第一東京弁護士会)。大阪、東京に拠点を持つ法律事務所に所属。
労働、商事関係を中心に訟務活動を担当しつつ、国際カルテル事案、企業結合審査等競争法対応、総合商社、メーカー等の一般企業法務等に従事。
2015年から、国内大手調剤・ドラッグストアチェーン企業、及びAIソフトウェア事業会社のインハウスローヤーとして、法務・コーポレートガバナンス実務を企業内から経験。

2021年ライトプレイス法律事務所共同設立。

この記事のまとめ

不貞行為で慰謝料を請求するには、証拠が何より重要です。
本記事では、証拠の収集方法や種類などについて、法的な観点から詳しく解説します。

特に、写真・動画・音声記録、SNSやLINEのメッセージ、領収書などの具体的な証拠の取り扱い方や、探偵の活用方法についても細かく説明します。また、違法な証拠収集を避けるための注意点や、弁護士への相談タイミングなども含めた実践的なガイドです。
あとで後悔をしないためにも、早めに弁護士の力を借りつつ、ガッチリとした証拠を集めていきましょう!

目次

はじめに

配偶者の不倫が疑われ、慰謝料請求や離婚をしたい!とおもったとき、必要なのは、その根拠となる客観的証拠があるかを冷静に考える必要があります。不貞行為の証拠がなければ、法的な請求はできません。

特に法律的に有効な証拠を収集することは、慰謝料請求や離婚手続きで極めて重要です。本記事では、「不貞行為の証拠収集と立証方法」をテーマに、合法かつ効果的な証拠の種類や収集の注意点を詳しく解説します。


1.不貞行為とは?証拠が必要な理由

不貞行為の法的定義

「不貞行為」とは、既婚者が配偶者以外の相手と肉体関係(性交渉)を持つことを指します。つまり、婚姻関係にある者が配偶者以外と肉体関係を持った場合に、不貞行為が成立します。その関係に至った経緯は、原則として問われません。

これは民法770条に定められた離婚原因の一つであり、同時に慰謝料請求が可能な不法行為にも該当します。

なお、不貞慰謝料に関しては以下の記事でも詳しく解説しておりますので、併せてお読みください。

なぜ証拠が必要なのか?

慰謝料請求や離婚請求を行う場合、請求する側に立証責任があります。つまり、「不貞の事実があったこと」を証明する義務があるのです。証拠がなければ、相手に否定されてしまえば、請求は認められません。裁判所は被害者の味方になってくれるわけではありません。


2. 不貞行為の証拠として有効なもの

2. 不貞行為の証拠として有効なもの

不貞の証拠は、「肉体関係」があると推認できる内容でなければなりません。例えば、以下のようなものが証拠となりえます。

① 写真・動画・音声記録

  • ラブホテルへの出入り
  • 不貞相手の自宅に宿泊
  • 親密な様子(キス・ハグなど)を撮影した画像や動画
  • 名前を呼ぶ、関係を認める会話の録音など

特に、顔や声がはっきり特定できるものは極めて有力な証拠となります。

② SNSやLINEなどのメッセージ

  • LINEやFacebook、InstagramのDM
  • 肉体関係があることを示唆する発言(例:「きもちよかった、またしようね」など)

ただし、曖昧な表現(「会えて嬉しかった」など)だけでは証拠として弱く、他の証拠で補強する必要があります。

③ 領収書・カード明細・交通履歴

  • ラブホテル、旅館などの宿泊履歴
  • 新幹線・ICカードの移動履歴
  • クレジットカードの利用明細(デート代など)

ラブホテルはかなり強い証拠ですが、行動履歴などはそれだけで肉体関係を裏付けることはないので、他の証拠との組み合わせが必要です。

④ 探偵(興信所)の調査報告書

  • 調査会社による尾行・張り込み・撮影結果
  • 日時・場所・相手の行動が詳細に記録された報告書

探偵報告書は裁判でも証拠として採用されやすく、最も強力な証拠のひとつですが、これも、はっきりとラブホテルへの入室などが取れていなければ、肉体関係の証拠とは言えないことが多いです。もっとも、そもそも相手が誰かわからないということも多いので、探偵の調査により住所や氏名が判明する、ということもあり、その証拠としては非常に重要です。

⑤ 自白

直接、配偶者や不貞相手に事実を認めさせることです。自白は記録に残すことが大事です。

  • 自白内容を記載した書面を作成し、署名をもらう
  • 自白の録音(※秘密での会話録音も原則的に有効です)

自白を得る場合は、以下のポイントを押さえてください。できる限り具体的な内容があることが望ましいです。

【自白を得るときのチェックポイント】

  • 相手の氏名(誰と)
  • どのような関係だったか(性的関係の有無
  • 不貞期間と回数
  • 時期・場所などの具体的な情報

自白は記録に残すことが重要です。慰謝料の支払い義務までは認めてくれなくても、まずは事実を認めてもらうだけで大きな意味があります。


3. 証拠収集時の注意点|違法にならないために

証拠を集める際には、次のような点に十分注意しましょう。

違法行為はNG

以下のような方法で取得した証拠は、違法な行為として、裁判で無効になるおそれがあります。

  • 不倫相手のマンションの郵便物を盗み撮りする(プライバシー侵害)
  • 不倫相手の部屋に勝手に侵入して撮影する(住居侵入)

違法に収集した証拠は、有効性に疑問が出てしまうことに加えて、逆に訴えられるリスクもありあります。問題が複雑化してしまう恐れもあるため、慎重さが必要です。

強要や脅迫も禁止

証拠を得ようとして、相手を無理やり問い詰めたり、脅迫まがいの言動を行うのもNGです。脅迫した状態で、取得した自白は無効です。冷静かつ論理的に話を進めることが必要です。


4. 複数の証拠を組み合わせる「積み上げ型証拠」のすすめ

不貞行為は、秘密裡に行われます。そのため、自白以外では、ひとつの証拠だけで肉体関係がはっきり認められるということはむしろ稀です。そのため、複数の証拠を組み合わせることで、総合的に不貞関係の存在を推認することが重要です。

「積み上げ型証拠」の例

複数の証拠を組み合わせる「積み上げ型証拠」の例
  1. LINEの親密なやり取り(日時あり)+
  2. 同日同時刻のホテル出入りの写真+
  3. その日のクレジットカード明細

このように、証拠同士がお互いに補強していることが重要です。


6. 探偵を使うべき?自力での収集との違い

6. 探偵を使うべき?自力での収集との違い

自分で集められる証拠

  • 自白
  • SNSのスクショ
  • メールやLINEのやり取り
  • 携帯のGPS記録
  • 自宅や自車内での録音
  • カードの利用履歴

探偵を活用すべきケース

  • 外泊・宿泊の証拠が必要な場合
  • 不貞相手の素性を調べたいとき
  • 決定的な証拠を第三者の目で記録したいとき

不貞調査に熟達した探偵事務所を起用することで、決定的な証拠の作成ができる可能性はあります。例えば、いつ不倫が行われる可能性が高い、といった事情まで把握している時は、その現場を探偵に調査をしてもらうことが、非常に有効な手段になりえます

ただし、探偵費用は高額になる場合も少なくないことに注意が必要です。また、探偵は警察ではないので、一般の人ができないことができるわけではなく、はっきりとした調査対象がない場合には、高額をかけても期待した結果とならないことがあります。


7. よくある失敗例|証拠収集で気をつけたい落とし穴

7. よくある失敗例|証拠収集で気をつけたい落とし穴

不貞の証拠を集めようとした際に、思わぬトラブルや失敗に繋がってしまうケースも少なくありません。ここでは、実際によくある失敗例を紹介します。

① 法的にNGな証拠を使用してしまう

  • 不貞相手の郵便物を盗んで住所を把握する
  • 不貞相手の自宅に勝手に侵入して写真を撮る
  • 不貞相手の自宅に盗聴器やGPSを無断で設置する

これらはすべて違法行為に該当する可能性があり、逆に自分が訴えられたり、刑事罰の対象になったりするリスクがあります。違法な手段で得た証拠は、裁判で証拠として認められないこともあるため、慎重な判断が必要です。

② 証拠の重要性を誤解している

  • 「SNSで仲良くしているだけだから不貞にはならないだろう」と放置(スクショを保存しておかず消されてしまう)
  • ラブホテルのレシートだけを保存して満足してしまう(関連する証拠の取得をやめてしまう)
  • 一度の会話録音だけで立証できると勘違いしてしまう(断片的な発言だけで自白と思ってしまう)

ご相談いただく方の中でも、はっきりとした証拠がある!とおっしゃられるけれども、実際には裁判では使えない証拠しかない、ということは非常に多いです。しかし、その証拠は全く意味がないのではなく、その証拠にある事実や記録をうまく集められれば、十分有効な証拠になり得る、ということも少なくありません。

後から、探してみても、すでになくなってしまった、改めて聞いたら曖昧に否定された、ということになってしまえばもう請求はできません。証拠は、取れる時に取ることが重要です。


8. 証拠の保管と提示の仕方|法的トラブルを避けるために

収集した証拠を有効に使うためには、保管の仕方にも注意が必要です。適切に保管しなければ、紛失や改ざんの疑いをかけられることもあります。

証拠保管のポイント

  • デジタルデータ(画像・音声)は日時のメタデータを削除しないよう保存
  • LINEやメールのスクリーンショットは、送受信履歴を連続して記録
  • 紙の領収書は原本をコピーしておき、耐光性のあるファイルで保管
  • 撮影日・発言日をメモしておく(誰と・いつ・どこでの証拠か)

9. 弁護士に相談してから証拠を集めるメリットとは?

「証拠がそろってから弁護士に相談しよう」と考える方は多いですが、実は証拠を集める前に弁護士へ相談する方が効率的かつ有効です。

相談のメリット

  • 違法にならない収集方法を事前に確認できる
  • 自分のケースではどんな証拠が最も有効かを教えてもらえる
  • 今の証拠から何が認定できるか、追加でどのような証拠が必要か一緒に考えられる
  • 裁判所や調停での評価を前提とした収集戦略が立てられる
  • 証拠が揃ってからの交渉や訴訟の進行がスムーズになる

私どもでは、LINEでの相談であれば、いつまででも無料です。疑わしい、証拠集めをしたい、という段階からご相談をスタートしていただくことを強くおすすめします。


10. 不貞相手の特定も重要|氏名・勤務先などの情報収集について

不貞行為に関する慰謝料請求を行うには、加害者である配偶者だけでなく、不貞相手の身元(氏名・住所等)も特定しておく必要があります。

以下の情報が揃っていると、弁護士が内容証明などで請求を開始しやすくなります。

  • 氏名(漢字・ふりがな)
  • 住所(現住所が望ましい)
  • 勤務先・連絡先(会社名・部署など)
  • 年齢や職業・既婚か独身かなどの属性

探偵事務所では、このような個人情報の調査も可能です。相手の素性が不明な場合、証拠があっても法的請求ができないこともあるため、可能な範囲で情報収集を進めましょう。


11. 不貞行為の証拠収集に関するQ&A

スマートフォンの位置情報履歴は証拠になりますか?

スマートフォンの位置情報(Googleロケーション履歴など)は、ホテルや自宅付近への移動履歴を示す「状況証拠」として活用できることがあります。ただし、単独では肉体関係を証明することは難しいため、他の証拠と組み合わせる必要があります。

ホテルの領収書を見つけました。これだけで慰謝料請求できますか?

ホテルの領収書だけでは、不貞相手と一緒にいたことの証明にはなりにくく、証拠としての価値は限定的です。写真・LINE・移動履歴など、別の証拠と合わせて「誰と」「何をしたか」が明確にしていく必要があります。

録音は許される?隠し撮りはダメ?

会話の録音は、自分がその場にいる場合は原則として合法です。ただし、隠し撮りや盗撮(トイレ・浴室などのプライベート空間)は、プライバシー権の侵害になる可能性があるため注意が必要です。


12. まとめ|証拠がすべてを左右する。その準備は今すぐに

不貞慰謝料請求や離婚において、「証拠」は勝敗を左右する最重要ファクターです。たとえ真実であっても、証拠がなければ裁判所に認めてもらうことはできません。真実の訴えをしながら、証拠が十分でないことを持って負けることは非常に悔しいですよね。

  • 証拠の収集は、何が必要か、という観点からよく検討する必要がある
  • 弁護士への早期相談で、もっとも効率的で、法的トラブルのない証拠がためにつながる
  • 自分一人で悩まず、弁護士の力を借りて「勝てる戦略」を立てていきましょう

証拠の力は、あなたの主張に現実的な裏付けを与え、冷静で強い立場を築くための最大の武器です。弁護士の力を借りつつ、冷静になって、事実と記録に基づいた主張を作っていきましょう。

不倫の慰謝料算定もLINEで!
ライトプレイス法律事務所の
「チャット弁護士」

24時間365日受付中!浮気・不倫の悩みはいますぐ弁護士に相談

\何回でもいつまでも無料/

目次