
本記事の監修弁護士:菅原 啓人
2021年1月弁護士登録(現在、東京弁護士会所属)。
都内の法律事務所にて、交通事故案件を中心に、労働事件、不貞、離婚事件等の一般民事事件を担当。
2024年10月ライトプレイス法律事務所に入所。
趣味は、野球観戦、映画鑑賞、旅行、スイーツ巡り等。
交通事故の発生後、弁護士に相談するベストなタイミングは、基本的に「できるだけ早く」です。事故発生後から示談成立前までであればいつでも相談・依頼は可能ですが、早い段階で弁護士に相談することで受けられるメリットは大きくなります。早期に弁護士に相談することで、実況見分への立会いや治療方針のアドバイスが得られ、治療中なら相手保険会社からの治療費打ち切り対策や適切な通院頻度についてのアドバイスが受けられます。
また、症状固定後は後遺障害等級認定申請のサポートや示談交渉での適正な賠償金額の獲得など、各段階に応じた専門的なサポートを受けることができます。弁護士費用特約に加入している場合は費用負担も軽減されるため、まずは無料相談などを活用して弁護士にご相談いただくことをおすすめします。
なお、示談成立後や時効経過後は原則として弁護士のサポートを受けることができないため注意が必要です。
1.交通事故に遭ったら、弁護士へはいつ相談すべき?
もし突然交通事故に巻き込まれてしまったら…弁護士への相談はいつがベストタイミングなのでしょうか?
基本的に示談前であれば「いつでも相談できる」のが基本ですが、いくつか知っておきたいポイントがあります。
弁護士に相談・依頼できる期間
交通事故被害に遭った場合、弁護士に相談・依頼できる期間や、おすすめのタイミング、相談依頼できない期間は、次のとおりです
- 相談・依頼できる期間 →事故発生後から示談成立前までの間
- 特におすすめのタイミング →事故後できるだけ早め
- 相談・依頼できない時期 →示談成立後や、時効が経過してしまった後
つまり、示談が終わる前であれば、いつでも弁護士に相談できます。ただし、相談のタイミングによって受けられるサポートの内容が変わることがありますので、早めのご相談が安心です。
示談成立後や時効経過後の注意点
示談成立後や時効経過後は、原則として弁護士のサポートを受けることができません。そのため、事故後なるべく早く弁護士へ相談するのが良いといえるでしょう。
1.すでに示談が成立している場合
示談とは、被害者と加害者が話し合って解決する手続きのことです。一度成立した示談は、基本的に覆すことができません。ただし、示談内容に重大な錯誤があった場合や、新たに後遺症が見つかった場合には改めて請求できる可能性があります。
2.時効が過ぎている場合
交通事故の損害賠償請求権には「時効」があります。
- 人身損害:5年または20年
- 物的損害:3年または20年
交通事故の損害賠償請求権について、ある程度期間があるとはいえ、時効が経過してしまうと、基本的に損害賠償を請求することができなくなってしまいます。時効が迫っている場合は、早急に弁護士に相談することをおすすめします。また、それぞれの時効について、どの時点から時効期間がスタートするのかという時効の起算点も、時効の成立に大きな影響を及ぼすことになります。そのため、ご自身の請求権について時効期間がいつからいつまでか気になるという方も、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
2.事故後の段階ごとに異なる、弁護士相談のメリット
交通事故に遭ったあとは、時間の経過とともに必要な対応も変わっていきます。
実は、どの段階で弁護士に相談するかによって、得られるサポートも少しずつ変わってくるんです。ここでは、事故の直後から示談交渉まで、それぞれのタイミングで弁護士に相談するメリットをご紹介します。
【事故直後】に相談するメリット
事故発生直後に弁護士に相談・依頼することで、次のようなメリットがあります。
- 実況見分への立ち会いが可能に
- 被害者が重傷を負った場合、被害者自らが実況見分に立ち会うことが困難ですが、弁護士に依頼することにより、被害者の代わりに実況見分に立ち会うことができます それにより、加害者の言い分に沿った実況見分調書のみが作成されることを防ぎ、被害者が過失割合なとで不利になることを防止できます。
- これからどうすれば良いのか、今後の進め方についてのアドバイスが得られる
- 警察への対応方法や示談交渉の流れなど、今後必要となる手続きについて専門家による説明が受けられます
- 加害者や保険会社との初期の煩わしいやり取りについて弁護士が代わりに行うなどのサポートが受けられます。
- 適切な病院選び方、受診の仕方
- 症状に合った医療機関や、受診時に気をつけたいことについてもアドバイスが受けられます
【治療中】に相談するメリット
事故から少し時間が経ち、通院しながら治療を続けている時期に弁護士に相談・依頼する場合は、次のようなメリットがあります。
- 治療費の打ち切りに備えた対応
- 保険会社から「治療費の支払いを打ち切ります」と言われたときの適切な対応策を検討できます
- 必要に応じて、健康保険への切替えなど代替策についてのアドバイスが受けられます
- 通院頻度のアドバイス
- 慰謝料や後遺障害の認定にも影響する「通院の頻度」についてアドバイスが受けられます
- 通院の空白期間が生じないよう、通院スケジュールの相談もできます
- 保険会社とのやりとりのサポート
- 症状に合った医療機関や、受診時に気をつけたいことについてもアドバイスが受けられます
【症状固定後】に相談するメリット
交通事故における症状固定とは、これ以上医学的な治療を続けても、症状の改善が見込めないと医師が判断した状態を指します。
症状固定と判断されると、原則としてその時点以降の治療費や休業損害の支払いは終了し、残った症状は「後遺障害」として扱われ、後遺障害慰謝料などの対象となります。
症状固定後に弁護士に相談・依頼することで、次のようなメリットが得られます。
- 後遺障害等級認定申請のサポート
- 後遺障害等級認定申請に必要な書類の準備や申請手続きを代行します
- 後遺障害認定率を上げるため、医師との連携により、適切な後遺障害診断書の作成をサポートします
- 示談交渉での適正な賠償金額の獲得
- 弁護士基準(裁判基準)で賠償金額を算定し、適正な金額での示談交渉を行います
- 保険会社の提示額が低すぎる場合、増額交渉にも対応してもらえます
- 過失割合に納得がいかない場合、適切な過失割合での交渉もしてもらえます
- 調停・裁判のサポート
- 示談交渉ではまとまらなかった場合、調停や裁判の手続きを一貫して任せることができます
なお、症状固定については以下の記事も併せて御覧ください。

こんなときは迷わず弁護士に相談してみましょう
交通事故に遭ったとき、「このケースは弁護士に相談すべき?」と迷うこともあるかもしれません。
ここでは、特に弁護士に相談することで心強いサポートが受けられる代表的なケースをご紹介します。
重傷や後遺症が残りそうなとき
事故で大きなけがをしてしまったり、後遺症が残りそうな場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談するのがおすすめです。
例えば、こんなケースでは早めの相談を
- 骨折や脱臼などの重傷を負ってしまったとき
- 入院や長期の通院が必要なとき
- 痛みやしびれがずっと続いていて、日常生活に支障が出ているとき
- 医師から「完治は難しい」と説明を受けたとき
こうした場合、将来的に「後遺障害」の申請が考えられ、高額な賠償金の請求が見込まれます。早い段階から専門家のサポートを受けておくことで、適切な補償を受けやすくなります。
過失割合や示談金額に納得がいかない場合
保険会社から示談の提案を受けたけれど、「なんだか納得いかない…」そんなときも、弁護士への相談がおすすめです。
よくあるご相談の例
- 過失割合が不当に高いと感じる
- 事故状況の説明が、加害者側と大きく食い違っている
- 過失の割合について、きちんとした説明がない
また、示談金額が低いと感じることもあります。
- 提示された金額が相場に比べて明らかに少ない
- 休業損害や慰謝料が適正に計算されていない気がする
保険会社は、どうしても自社の支払いを抑えようとする傾向があります。
そんなときに弁護士に相談すれば、裁判例に基づく適切な過失割合での交渉及び慰謝料等について「弁護士基準」と呼ばれるより適切な水準での金額交渉ができます。
ご家族が亡くなってしまった場合
とても辛い状況ですが、大切なご家族を事故で失ってしまったときには、できる限り早く弁護士にご相談ください。
大切なご家族を亡くした悲しみの中で、相続などの複雑な手続きや賠償金の交渉を行うのは非常にストレスがかかるものです。
また、死亡事故の場合は賠償額も高額になる傾向にあります。適切な賠償額の算定には、専門家によるアドバイスを受けることが非常に重要です。

弁護士費用が心配な方へ ―「弁護士費用特約」のご案内
「弁護士に相談したいけど、費用が心配で…」そんな方も多いと思います。
でも、ご自身が入っている自動車保険や傷害保険に「弁護士費用特約」が付いている場合は、費用の心配をせずに相談や依頼ができます。
弁護士費用特約って、どんなもの?
弁護士費用特約とは、保険会社が交通事故に関する弁護士費用を代わりに負担してくれる制度です。
一般的な補償内容の例
- 弁護士費用:最大で300万円まで補償されるケースが多いです
- 相談費用:10万円までカバーされる場合もあります
これだけの補償があれば、実際の相談や依頼にかかる費用をほとんど気にせず利用できる方も多いはずです。
弁護士費用特約を使うメリット
- 費用を気にせず相談できる
- 相談のハードルがグッと下がり、「とりあえず聞いてみる」ことが可能になります。
- 早めに依頼しても安心
- 事故直後から弁護士に動いてもらえることで、有利に交渉を進めやすくなります。
- 保険料は基本的に上がらない
- 弁護士費用特約を使っても、翌年の保険料が上がることはほとんどありません。
「うちの保険でも使える?」と思ったら…
まずは、ご自身が加入している任意保険の内容をチェックしてみてください。
弁護士費用特約が付いているかどうか分からない場合は、保険会社に問い合わせればすぐに確認できます。
弁護士費用特約に加入している場合は、できるだけ早い段階で弁護士に相談することをおすすめします。特約の利用可否や適用範囲については、加入している保険会社に確認するとよいでしょう。
失敗しないために ― 信頼できる弁護士の選び方
「弁護士に相談したいけれど、誰に頼めばいいんだろう…?」
そんな不安を感じるのは当然です。
ここでは、交通事故のご相談をするうえで大切にしたい「弁護士選びのポイント」をご紹介します。
交通事故案件の経験が豊富か
交通事故は医学的知識も要求される分野であり、経験豊富な弁護士のノウハウが重要となります。法律事務所のホームページに交通事故に特化したコンテンツがあるかどうかなどを確認し、交通事故案件の実績を確認するとよいでしょう。
- 交通事故の取扱実績
- 交通事故案件の解決実績が豊富であること
- 後遺障害等級認定のサポート経験があること
- 示談交渉や裁判の経験が豊富であること
- 専門的な知識の有無
- 交通事故の損害賠償に関する専門知識があること
- 医学的な知識も持ち合わせていること
- 保険実務に精通していること
相談時にチェックしたい点
- 初回無料相談など、気軽に話せる仕組みがあるか
- オンラインや電話での相談にも対応しているか
- 難しいことをわかりやすく説明してくれるか
- 寄り添った対応をしてくれるか
弊所では、交通事故の解決実績が豊富な弁護士が複数在籍しております。さらに特徴的なのは、LINEでいつでも何度でも無料でご相談いただけることです。「自分の場合、どんな対応をすればいいんだろう?」「相手方の保険会社の示談提示に納得いかない…」など、交通事故に関する様々なお悩みを、LINE上で気軽にご相談いただけます。
交通事故に遭いお困りの状況であれば、まずはぜひ弊所の「チャット弁護士」サービスにてご相談ください。
まとめ:弁護士に相談する“ベストタイミング”とは?
結論としては──
迷ったら、早めに相談するのがおすすめです。
これまでご説明したとおり弁護士に相談することで得られるサポートやメリットは、事故の状況や段階によって少しずつ異なります。ただ、早期のご相談がもたらすデメリットはないため、弁護士に依頼するかどうか決めかねている場合も、事故後すぐにご相談いただくことをおすすめします。
早期相談のメリットを最大化するために
早期に弁護士に相談するメリットを最大化するためのポイントは以下の通りです。
- 早めに複数の弁護士に相談する
- 無料相談を活用して複数の弁護士の意見を聞く
- 自分に合った弁護士を選ぶ
- 弁護士費用特約の確認を早めに行う
- 加入している保険の内容を確認する
- 特約の適用条件や利用方法を確認する
- 必要な資料を準備しておく
- 事故状況の記録や写真
- 診断書や治療費の領収書
- 保険会社とのやり取りの記録
交通事故の損害賠償請求は、専門的な知識と経験が必要な分野です。自分で対応するより、弁護士に依頼することで、より適正な補償を受けられる可能性が高まります。迷っているならまずは無料相談を利用して、自分のケースに最適な依頼タイミングについて相談することをおすすめします。
弊所では交通事故対応の経験が豊富な弁護士が在籍しています。また、LINEで「チャット弁護士」というサービスを運営しており、LINE上では何回でもいつまでも無料でご相談いただけます。ぜひお気軽にご相談ください。